日本でDIYbioを始めるにあたって……
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01 ) student(aka)
[2018/09/14(金) 19:17]

生命科学系大学院の博士課程に在籍しています。
「バイオの民主化」と謳われ、勢いを増すDIYbioを嬉しく思っています。
最近になって興味を持ち、DIYbioを始めるために、半年ほど情報収拾をしました。
DIYbioの問題点や、これからの方向性を整理・共有したいです。
とりあえず、これまでに私が感じたことを、この掲示板をお借りして話させていただきます。

1. 日本ではコミュニティが小さい
国際的DIY展示会のMAKER JAPAN 2018では、バイオロジー関連出展者は両手で数えられる程度でした。
日本で現在特に大きいDIYbio団体は、Shojinmeat, BioClub, YCAM, FabLabくらい。
オープンサイエンスの流れを受けて勃興したはずのDIYbioが、日本では結局小さなコミュニティで共有されるのみになっている。
ウェブだと、個人ブログかバイオハッカージャパン様くらいしか交流の場がない(5chにも関連スレッドはない……)。

(続く)

02 ) student(aka)
[2018/09/14(金) 19:18]
2. 試薬の購入が実質不可能である
日本の代理店は個人への販売を行なっていないため、海外から輸入する必要がある。
PCR用酵素のチューブ一本分で輸入費が数千円になることもある。
これでは、いくらDIYで遠心機やPCRを安く作れても、肝心の実験ができない。
みんなどうしてるんですかね……。
ウェット実験に関してはお金持ちの娯楽になってるような……。

3. 遺伝子組換え実験の法律の制限が厳しい。
第二種使用等(P1, P2といった封じ込め環境下での実験)に関しても、遺伝子組換え産物の取り扱いには十分な注意を払う必要がある。
仮に上記の試薬購入問題をクリアしたとしても、遺伝子組換え産物は個人で保管する必要があり、 ソフトウェアの頒布のように、作製した実物を配ることはできない。
これは、市民科学とマッチしない。

以上の問題点のために、マーカス・ウォールセンが著書バイオパンクの中で示す、アメリカが主導するDIYbio(個人的にはミニマムな製薬産業という印象)は日本ではできない現状にあります。
可能なのは、「DIYbioを楽しむこと」そのものであったり、芸術方面での利用であったりに限られます。
それ
<省略> [全文]

03 ) komuro(aka)
[2018/09/15(土) 22:03]
私もDIYバイオを知り、最近興味を持って調べ始めているんですが、情報が少なすぎてどうしたらいいのやらと思っています・・
いろいろお話を聞かせてください。

04 ) Taku(aka)
[2018/09/28(金) 10:47]

民間製薬企業で研究者をしています (27歳) 。
私も、数年前から興味があり、国内にいいチームができないか探しているのですが、なかなか自分の興味と合った方々には巡り会えず....
個人的に始めていくものなんですかね?

有識者の方がいらっしゃいましたら、このスレッドに便乗して教えていただきたいです。

05 ) nmu(nico)
[2018/10/06(土) 14:59]
国立研究所の研究者です。
バイオハックと言っても、一般人向けにGFPを大腸菌に発現させる実験であれば、社会人のお小遣いの範囲でできるかと思います。リバネス社の企画で実験体験や研究室の貸し出しなどが不定期であるので、それに参加することもできるでしょう。
一方で、製薬企業や国公民間問わず研究所の研究者が職務外の興味で行うレベルのバイオハックは日本では実現困難だと思っています。例えば、インスリンを調製できたとして、そのプロダクトの評価には高額な機器が必要です。

思いつく範囲では、生物の分類学や生態学の分野では、専門家が把握できていないことが多いので(もともと市井の研究者が活躍していた分野なので)、新規な知見が得られると思います。
例: A種と近縁の種B,C,Dがいた場合、これらA~Dは互いに遺伝的にどの程度離れているか?

06 ) Taku(aka)
[2018/10/15(月) 15:35]

nmuさん、貴重なご意見ありがとうございます。
確かに、医薬品は特に申請の際に乗り越えなければならない壁が多いので、台所実験のレベルでは到底実現不可能かもしれませんね。

近年、海外の事例が多く取り沙汰された影響か、分子生物学的な実験によるバイオハックにアイディアが偏りがちな気がします。
個人的には、天然物培地を駆使しておもしろい能力を持つ (できればビジネスになるような能力を持つ) 細菌類を単離できるだけでも、立派なバイオハックになりうると思うのですが。
あとは、未だに自家受精による結実に成功していない園芸植物の突然変異体を単離するとか。
(ぱっと思いつくままに書いてますので、思慮不足であること、ご容赦ください)

各人が持っているアイディアを自由に交換したり、専門的またな経済的な実現可能性を話し合ったりする場だけでも、充実していけばいいのですが。

07 ) student(aka)
[2018/10/16(火) 15:39]
お二方ともご意見ありがとうございます。
やはり、個人で行う分子生物学実験は日本だと厳しいですよね。
コンストラクト作製だけで片手じゃ足りない数の障壁があるような気がします。
可能なのは、「然るべき施設で作られた組換え用プラスミドを、自宅の培養設備を用いて細胞に導入し、有用機能を発現させた細胞を何かしらに利用する」というくらいだと思います。
そのためにも、自宅で細胞培養ができるようにしておくことは、無意味ではなさそう。
その「何かしら」が一番大事だっていう話なんですけどね……。

nmuさんが言うような、市井の研究に近いことと言えば、最近だとヤコウタケの栽培キット販売が思い浮かびました。
ヤコウタケ、オワンクラゲなどの特殊な生体機能を持つ生物を対象にバイオハックするのが現実的で、意味がありそうですね(アカデミアでいうところの、生物資源の探索になるんでしょうか?)。
Takuさんのおっしゃる通り、生育の難しい菌(uncultivated bacteria)や植物であれば、自家栽培法の樹立だけでも十分な成果になると思います。
バカマツタケの栽培に成功した会社の株が急騰したことから、アカデミアに限らず
<省略> [全文]

08 ) ふぇちゅいん(aka)
[2018/10/17(水) 22:14]
キノコはフロンティアだねえ

09 ) Taku(aka)
[2018/10/18(木) 09:08]
松茸の人工育成、昔から趣味で個人研究されている方いらっしゃいますよね。
結局、バイオハックというキャッチーなネーミングがされただけで、昔でも今でもそういう方々はいらっしゃるんですよね。

そう考えると、いかにアイディアを共有して研究を加速化するか、いかに公共の実験施設を開放して高度な実験をオープン化するか、というところが、現代ならではの動きといったところでしょうか。

10 ) nmu(bawa)
[2018/10/18(木) 21:36]
私の書き込みにちょっと誤解があったみたいなので、補足します。
>医薬品は特に申請の際に乗り越えなければならない壁が多い
というよりも、もっともっと前の段階でつまづくと思うんですよ。ちゃんと全長のインスリンが発現しているか?正常なフォールディング・構造をもっているか?生体内で機能することを確認できるか?
キッチンに質量分析やCD、DSC、動的光散乱、実験用マウスを揃えるなんて不可能ですので、作ることができても評価が難しいです(インスリンに限ったことではなく)。
DIYなり代用品なりで、どこまで準備できるのか?「準備できる範囲でできること」を前提として考えるのも、日本的バイオハックの方向性の一つだと考えてています。
例えば、ふぇちゅいんさんのブログから、PCR実験は個人でもできるようになってきたなぁと。これであれば、市井の研究者でも遺伝情報をベースとした生物の分類が可能になってくると思うんです。

11 ) nmu(aka)
[2018/10/18(木) 21:49]
もちろん、分子生物学に依らないバイオにも興味はあります。
昔、ヤコウチュウを増やすキットも売られていたと思います。
「光った」「増えた」というのは、上でも述べたプロダクトの評価方法として簡単なので、取り組みやすいと思います。
問題は何をターゲットにするか?ですね。

12 ) ghjf(aka)
[2019/01/15(火) 12:50]
自宅でdna泳動実験するのに
槽の循環冷却装置は魚の飼育水槽用のを転用できますか。
精度は1℃です。

可なら、
1。アースは必ず取れとあるがどうか。
自宅実験室が二階でして、
アースは一階の台所にターミナルが有るので
階段を含めてアース線を這わせねばなりませんので
屋内の景色が悪くなるなあと困っております。
そのうえ、長距離でアースして問題はないのかも不安です。

説明書には電源は専用で近くに配置せよとか
一台でやるなら循環能力が1 class上の機種を選べともあり、
危なそうな装置なのでアースも指示に従うべきかなと。

13 ) ghjf(aka)
[2019/01/15(火) 17:47]
投稿した質問が消えてますが
削除される理由が無いので
処理誤りですかね。

14 ) hjn(aka)
[2019/01/16(水) 12:08]
<DNA抽出からPCRまでをDIYか委託かの比較を>

文献の勉強中である全くの未経験者が自宅で
DNA+抽出と精製からPCRまでの実験をしたいなと考えております。

ゲル作成の所要時間、つまり慣れるまでの時間、
角度を変えての表現では練習回数、を考えると、
DIY精神の本siteには反しますが、
植物材料を受託会社に渡して配列決定まで
やらせるほうが面倒が無くて良いか、
研究費が当たれば、です。

材料を送って抽出から配列決定までのfull courseで
1遺伝子(rbcL)で6万円、2遺伝子で8万円の受託会社料金と
これから自宅で練習する場合との
所要時間と費用との両面での
比較検討をお願いできたら助かります。

参考として他に考える点は、
資金がすべてなので、自宅でやれる機会が
研究費が当たった時だけせいぜい1個体x2遺伝子でという点です。
つまり、実験手技に慣れた後で頻繁に実験できる資金があれば
面倒な練習実験を繰り返しても意味があるが、
そうではありませんので判断に困っております。

最後に、
文献勉強で分かったことですが、
DNA系の手技は手法の細かな変化(改
<省略> [全文]

15 ) nmu(aka)
[2019/01/31(木) 23:40]
「ある種類の植物のある1遺伝子の配列情報を知りたい」というのであれば、外部に受託するのが確実だと思います。
モデル生物であれば、すでに解析されているものも多いので、あらかじめ調べられると良いと思います。

16 ) hjn(aka)
[2019/02/01(金) 22:21]
背中を押してくださったことに深謝します。

対象が粘質多糖たる寒天の原料の紅藻テングサなので
DNA抽出の段階で困難があることはわかっており、
これまでに受託会社に材料を送って
手法の確立をしてもらいましたが、
配列に使えるぎりぎりの量を何とか取れたという水準です。

泳動したgelを多数送ってもらいましたが像は霞の彼方的なものです。
採集直後に送って泳動をやってもらえば
DNA切断が無いからきれいな像が出るのかな。

★ようやく応答が成立しました(^¥^)
どうしてここは発言が少ないのですかねえ。
BioTechnicalフォーラムでは多量なのに。

★mobile dna sequencer Minionが発売されましたが
テングサに使えますかね。

★同じくUK発の小型PCR kit Bento LabのHPには
予約者に発送中と書いてありますが
ここの主催者が資金を出したにもかかわらず
入手報告が有りませんね。

17 ) nmu(aka)
[2019/02/02(土) 13:08]
テングサがGelidium elegansだとすると、いくつかの遺伝子は解析されています。
データベース(NCBI Geneなど)で検索すると出てきます。

>どうしてここは発言が少ないのですかねえ。
この掲示板は「日本でDIYbioを始めるにあたって……」という話を議論する掲示板だから、
BioTechnicalフォーラムとは趣旨が違うので、少ないのでしょう。

>mobile dna sequencer Minionが発売されましたがテングサに使えますかね。
使えるといえば、使えるんでしょうが、個人で扱うことを想定しているものではないと思います。

hjnさんが何をやりたいのかよくわからないのですが。
テングサのもつ特定の遺伝子配列を調べたいのか、全遺伝子を解析したいのか、個体差を調べたい・比べたいのか...
ひとくちに遺伝子の解析と言っても、用途によって手法が異なるので、何を知りたいかから考えるとよいと思います。

18 ) hjn(aka)
[2019/02/02(土) 23:39]
御返事に感謝します。

>個人で扱うことを想定しているものではない
ええっ、非個人つまり集団で使うとはどういうことか、
ご解説くださいな。

「テングサ」は近縁属を含めて集合名詞的に使い、
英語ではgelidiaceous algaeと言います。
配列調べの目的は二種間の類縁の査定です。
barcodingにも関係する、最初に書いたrbcLなど数領域の短い遺伝子対象です。

19 ) nmu(aka)
[2019/02/03(日) 21:16]
>ええっ、非個人つまり集団で使うとはどういうことか、
>ご解説くださいな。

集団というか、企業や大学の研究室などが購入して、グループで使用するものだと思います。
理由は2つあります。1つはコスト面です。
DNAシーケンサーとしては破格の低価格ですが、本体価格が10万円+消耗品が必要になります。
今、シークエンス解析は1回1000円以下で外注できます。600bp程度は解析できます。
10万円あれば、100回以上できるわけですから、よほど大量に扱うのでなければ外注の方が安上がりです。
もう一つは、ノウハウが必要になるかもしれない点です。実際にMinionを使ったことはないので、断定はできません。
ただ、この手の装置を使って良い結果を得るには、相応の知識とテクニックが必要なことが多いです。
必要な試薬を混ぜて測ればOK、というふうにすんなりと行かないこともあります。

さて、本題のテングサの解析ですが、DNAを抽出して、PCRでrbcL配列を増やして、シークエンス解析を外注するのが最も確実&安上がりだと思います。
上で書かれておりますように、DNAの抽出が難しいようですが、確実に抽出すること
<省略> [全文]

20 ) hjn(aka)
[2019/02/04(月) 21:51]
>ノウハウが必要になるかもしれない

そうですかあ。

>PCRでrbcL配列を増やして、シークエンス解析を外注するのが最も確実&安上がり

そのPCRがprimer設計なんてのが挟まるので面倒さが相当と感じ、
1遺伝子で6万、2遺伝子で8万とのことなので
海藻を渡してすりつぶしから配列までまるごと委託する案に傾いております。

その様な折に
浜辺で片膝ついて操作しておる宣伝写真が衝撃的なので
食指を動かされました。熟練者用と言うことですね、理解しました。
懇切丁寧なるご教示に深謝します。

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