6万円で買える自宅用DNA増幅装置「OpenPCR」
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2013.10.02

6万円で買える自宅用DNA増幅装置「OpenPCR」

OpenPCR装置(オフィシャルページより)
OpenPCR装置(オフィシャルページより)
 PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)とは必要な遺伝子を含むDNAを無限に増やすことの出来る技術で、現代分子生物学の基礎となる技術です。この技術を発明した研究者キャリー・マリスは1993年にノーベル賞を受賞しています。

 研究所などにあるPCR装置は数10万円、高い装置では100万円以上と高額ですが、この装置が行っている事は非常に単純で、温度を繰り返し上下しているだけです。PCR装置の別名は「サーマルサイクラー(繰り返し温度変更装置)」とも呼びます。

 具体的には「増やしたい遺伝子を含む微量のDNA」と「増やしたい遺伝子配列の先頭と後方を示す目印(プライマー)」、増幅させるための酵素、DNAの元(モノマー)を1つのチューブに入れ、そして
94℃(およそ1分)→およそ60℃(およそ1分)→72℃(およそ1分)→と20〜30回繰り返すだけです。1サイクル繰り返すごとにDNAは2倍に増え、30回繰り返すと1個のDNAが10億倍に増えます。(なぜこのように温度を変えるだけで目的の遺伝子が増幅されるのかはぜひ調べて見て下さい。感動的に素晴らしいメカニズムです。)

 今回紹介するOpenPCRは自宅でのバイオ研究を目指すバイオハッカーらがアメリカのクラウドファウンディングサイトKickstarterで開発資金を調達し開発しました。安く販売するためにこの装置は組み立て式になっていますがドライバー1つで3時間で組み立てる事が出来るそうです。本体価格は599ドル。日本への送料49ドルです。

 激安のPCR装置を世の中に普及させようとする取り組みは他にも様々あり、85ドル以下で作ったというプロジェクト↓

350ドルのPCR装置を目指すCofee Cup PCR↓200ドルの装置を目指すLavAmpなどもあります。実際に家で遺伝子を増幅さる場合にはこの装置だけでは無理で、前述した増幅させるための酵素、遺伝子配列の先端と終わりを示すプライマー。DNAの元となる「核酸モノマー」が必要ですが、それらの入手方法についても追々、本サイトで紹介していきます。

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※当サイトで実施している実験において使用している試薬・機器は全て一般の人が購入・入手可能なものです。入手方法は過去に紹介されているはずですが、見つけられない場合はコメント欄等でお問合せください。

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