2018.03.01
DNA/RNA検出に革命!CRISPR/Cas12およびCRISPR/Cas13を使って標的核酸の有無を4種類同時検出可能
診断・分析に革命を起こす新しい技術が出てきました。「CRISPR/Cas9」はゲノム編集に革命をもたらしました。それはこの分子が目的とする配列を正確に切断することが出来るからです。また、効率は100%ではないですが別の配列に書き換えることも可能です。
※CRISPR/Cas9システム・・・・・・Cas9酵素がCRISPR配列(DNA)で指示される(相補的な)2本鎖DNAを切断することを2本鎖(ゲノム)編集システム
今回報告されているのはCas9と似た性質を持つCas12およびCas13という酵素を活用したDNA・RNA検出技術です。
Cas12、Cas13は遺伝子編集に使われるCas9と同様に指定したDNAまたはRNAを切断する類似の酵素として知られていましたが、今回研究者らは、この2つの酵素が、これまで知られていた機能に加えて、標的とする核酸を切断すると同時に、周囲のDNA、RNAを切断することを見出しています。Cas12aは1本鎖DNAなら何でも切断し、Cas13にはいくつか種類があり、それぞれ好みの配列のみを切断するようです。
結果として研究者らはこの4つの酵素を使い、切断されると蛍光を発する核酸を使うことでサンプル中に含まれる特定のDNA1種類、RNA3種類の存在の有無を同時に検出出来ることを示しています。
Multiplexed and portable nucleic acid detection platform with Cas13, Cas12a, and Csm6.Science. 2018 Feb 15. pii: eaaq0179. doi: 10.1126/science.aaq0179. PMID:29449508
これで何が出来るかといえば、B型肝炎ウイルスと、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、エイズウイルス、風疹ウイルスが含まれているかどうかを混ぜるだけで検出することが可能であることを示しています(感度の問題はありますが。。。)。
これまでDNAやRNAの分析には加熱したり冷やしたり、時間をかけて増幅したりという工程が必須でしたが、今回発見された新しい分析方法を使った新しいタイプの感染検査キットが薬局やコンビニに並ぶ日が来るかもしれません。「インフルエンザウイルスがあると光るマスク」なんて作れるかもしれませんよ。
Category:新技術
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コメント
いいっすね!=100
001 [03.01 23:43]なの@NetHine:電気系と検出と組み合わせて欲しいな。光学で高感度を狙おうとするとどうしても機会が大型化しちゃうから。 ↑(41)
→カテゴリー:新技術(記事数:4)