2019.02.08
東京日本橋にバイオ・シェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」が誕生〜オープニングイベントに行ってきた。
東京日本橋のオフィス街の一等地に新しいバイオシェアラボがオープンしたそうなので見てきました。日本橋ライフサイエンスビルディングの地下一階がまるまるシェアラボになってます。
この新しいシェアラボを開設したのはBeyond Next Ventures社、社長の伊藤氏は東工大→ジャフコ(ベンチャーキャピタル)を経て、同社を設立されているようです。
まず社長の伊藤氏(写真右)から設立の概要の説明がありました。日本橋はいわゆるオフィス街ですので、この施設のある建物「日本橋ライフサイエンスビルディング」も大部分がライフサイエンスがらみの会議場や、オフィスとして使用されるとは思いますが、このビルを作った三井不動産はウェットの実験室もこのビルに入れたいと以前から思っていたそうです。
次にラボのマネジャーである杉崎氏(写真左)から施設の説明がありました。このラボのロゴの放射状のデザインは同氏が大学時代に研究を行っていた細胞内小器官である「中心体」と一緒だとか。
海外のバイオシェアラボの状況の説明です。アメリカでは多数のバイオのシェアラボが機能しており、バイオベンチャーの受け皿となっているとのこと。この話、実際見たことが無いのもありますが、日本のバイオベンチャーのすそ野の狭さを考えるとイマイチ信じられない話です。。。。。日本でもバイオシェアラボの登場が状況打開になると良いのですが。
施設の見取り図です。プロジェクトの初期ステージの15チームぐらいを受け入れる計画であり、1年以内程度の短期利用を見込んでいるとのこと。P1、P2両方の実験室を備え、3部屋の専用個室と中央の広い共用実験スペース、共用オフィスから構成されています。
シェアラボの利用形態です。
「PRIVATE」というのが前述の個室を確保するプラン。
「BENCH」というのが共用スペースで2ブロック分のスペースを確保するプラン。
「TEMPORARY」というのが個人で1ブロック分のスペースを確保するプラン。
PRIVATEとBENCHは月単位での貸し出し、TEMPORARYでは1日単位の貸し出しが可能です。
また機器メーカーに貸し出す「DEMO」ブースも用意されています。
ラボに準備されている共用機器の紹介です。このシェアラボの機器ラインナップはバイオの中でも「細胞の培養・観察関連」に重点を置いて構成されているように思います。そのラインで行くと、あと液体窒素のインフラかー150度のウルトラフリーザーは備えて欲しいかなと思いました。あとは俺がこの施設の主宰者ならLCとLC/MS、大腸菌関連の培養装置(あるそうです。修正)と凍結乾燥器をそろえたいところです。欲張りすぎかもしれませんが。バイオと言ってもめちゃくちゃ広いので全て揃えようとしたらとんでもない投資が必要になてしまいますけどね。
次に皆でラボ見学です。オープニングレクチャーのあった部屋から2枚のガラス張りの壁を挟んでラボが広がっています。テレビ局がバイオなドラマ撮影に使いたがるかもしれませんね。このガラス越しにキスするシーンがあるかも!?壁ドンは割れるとヤバいので向きません。
実験室の中は大学や企業の研究機関で見られるラボそのままです。中央実験台ごとにある柱は中が空洞で、必要に応じて今後、各種配管を這わせたりするのに使うのかな?トラディショナルなスタイルではありますが、そろそろ設備メーカーはもっとオシャレな設備をラインナップして欲しいですね。
ドアなど随所のデザインが非常に美しいです。こんな素敵なP2のドア初めて見ました(笑)。「P2実験室」とは遺伝子組み換え実験を実施することの出来る制限区間を示します。ラボの掃除は誰がやるんでしょうか?
試薬保管室です。かなり広い面積が確保されていました。テンポラリーに使う人は、使用後に全ての私物をここに片づけてもらう使い方を想定しているのかもしれません。
説明を行う杉崎氏。指さしているドアの先は冷凍・冷蔵エリア。かなり広いスペースが確保されていました。見ているのは参加者のオジサマ達。今回のオープニングセレモニーに参加していたのは、このシェアラボを運営するBeyond Next Ventures社のファンドの出資者企業の方や、シェアラボに既に入居が決まっている人、入居を検討する団体の人、野良バイオ研究者な高校生などが参加していました。
オートクレーブが2台。知的好奇心豊富な研究者ならこっそり焼き芋を作りたくなると思います。ゴミ用と滅菌用を分けるかどうかで、ラボマネージャーの性格が分かりますね。
日本橋のオフィス街にバイオのシェアラボというのは非常に興味深く色々と考えさせられました。立地条件としては最高です。もちろん実験を行う施設としては、こんな素敵な場所にある必要は無いのですが、周辺のオフィスで働くスポンサーになってくれそうな企業のお偉方をラボに招いて色々とアピール出来るチャンスが広がると考えられ、これは非常に価値があると思います。それに、このシェアラボを運営している母体企業がバイオのスタートアップを探すベンチャーキャピタルですので、ラボを借りつつ、資金調達についての相談・コラボレーションが期待出来ますね。
入居希望者向けに2019年2月19日に内覧会があるそうですよ。
余談ですが、このシェアラボを借りて、ランチや晩飯は大学研究室のノリで白衣を着たまま近所の有名店の行列に並び、周囲から怪訝な目で見られる中二病的な妄想をしました。久しぶりにつじ半の海鮮丼に並びたい。
Category:ビジネス・ベンチャー
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コメント
いいっすね!=27
001 [02.08 14:19]小学三年生:細胞培養できてP2レベルの実験もできるのに大腸菌関連の機器が無いとは、これ如何に……。あと、超遠心機も欲しいっすねぇ。ちなみに、お値段はどうなってるんですか? ↑(9)
002 [02.09 16:35]ふぇちゅいん(管理人) TW★70:失礼。大腸菌設備ありました。修正しました。 ↑(4)
003 [02.09 19:21]あいす@So-net:ディープフリーザーはトラブルで止まった時に補償問題になりそうで難しいのかも。でも凍結させておきたいですよね。動物は使えないんですね・・・。 ↑(4)
004 [02.12 22:35]ななしさそ★47:この手のある程度遺伝子的な操作をする実験は、どっかからまとまった(数百万単位)予算を貰える立場で、そういう人間向けに結構どこの大学でも萌芽的研究用のラボを持っていたりするので、このレンタルラボが何をするのかイマイチ掴めない。それはともかく、イニシャルコストをかけられそうなので、超高圧HPLCみたいな分析結果がとっとと出る分析機械は持ってても良い気がします。LC-MSは維持費でしぬだろ、だとしてもw あと超遠心無かったらむつかしい顔になる。 ↑(1)
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