バイオハッカーの時代が到来
カテゴリー:コラム(記事数:5)

2013.08.19

バイオハッカーの時代が到来

 20世紀がIT・コンピューター技術の時代であったとすると、21世紀はバイオテクノロジーの時代です。2001年に人間の設計図であるヒトゲノムが完全解読されて以降もゲノム解読技術は猛烈なスピードアップが進んでおり、人類は地球上のあらゆる生物のゲノムを解読するに止まらず、一人一人のゲノムをも完全に解析し「ゲノムという生物の設計図」により個人を表現・定義出来る時代に突入しています。

 一方で膨大に得られつつあるゲノム・遺伝子情報により、そこに何が書かれているのかの理解も進んでおり、遺伝子情報を読み出すだけでなく、情報を書き換え遺伝子改変された実験生物は研究所の中で日常的に誕生しています。既に植物においては遺伝子組み換え作物として自然界で育てられているものも出始めています。

 また、日本人研究者が大きな貢献を果たしたiPS細胞技術は、皮膚などの細胞1つからあらゆる細胞・臓器を作り出せる可能性を開きました。これまで様々な細胞や臓器や細胞を作り出すには「卵子」や「精子」から生命を発生させる必要があり倫理的問題が問われていましたが、本技術の確立により「再生医療」「遺伝子治療」の倫理的ハードルは大きく下がり多数の革新的治療方法の取り組みが計画されています。

 しかしながら、こういった世界を変えつつある技術は今は病院・研究機関の中だけのものとなっています。今後もこのままなのでしょうか?

 かつて、ITやコンピューターといった技術も企業や大学などの研究機関の中だけのものでしたが、今やパーツを買ってきて個人がコンピュータを組み立てたり、自宅で高度な技術を駆使し様々な試行錯誤を楽しむアマチュアエンジニアも多くいます。今後、同じ事がバイオテクノロジーに起こるのではないでしょうか。

 バイオの実験手法はコンピューター・IT技術と比べて特別難しいわけではありません。やり方さえ知れば自宅の部屋やキッチンで行うことは十分可能です。ゲノム・遺伝子の情報量は現在自宅のコンピューターで扱われているデータ量と比べて特別大きいわけでもありません。今後、必ずやバイオテクノロジー技術は研究室を飛び出して個人で自宅で扱えるものとなるでしょう。

 バイオ技術を自宅で自在に使いこなし、自分の遺伝子情報を自分で調べ自身への理解を深めたり、病気を自分で診断出来たり、また、倫理的な問題はありますが新たな生物を自宅で創製することも可能となっているのです。

 そう、バイオを個人レベルでいじる(ハックする)バイオハッカーの時代が到来するのです。

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