2021.12.20
顕微鏡上でタイムラプス撮影も可能な超小型インキュベーターを設計変更して出力アップ。PTCヒーターの出力制御と余熱対応が難しい
最新型(右側)は出力が従来機より3倍アップしているので筐体を赤色にしました。
下記の続きです。
すでに装置は微調整を続けて4台目ぐらいですが、現在の設計では気温10度を下回るような室内での使用ではヒーターの出力が足りず37℃まで上がらないことが分かってきました。
上野写真の右に映っているのが最新版の本体です。第1号機と比べると
下記は試行錯誤のログです。まずはこれまで使ってきた80℃(2-5W)の素子
↓両側に放熱フィンを張り付けた状態で0.14A流れています。動作開始時は0.5A程度流れるのですが、すぐに温度があがり抵抗値が増大するようです。
電流と電圧を図っている部分はコレ↓です。お手軽で良いねえ
↓ファンからPTCヒーターの間の左右と上を塞ぎ、風がより強く当たるようにすると素子がよく冷却されるためか0.19Aまで電流量が増加しました。今回の場合、電流をより多く流れさせるほど出力が増すことになります。
↓しかしこの素子を使っているかぎりは部屋の温度が10℃とか低温の場合は十分に温度が上昇しないことが分かりました。
さらに改良する方法としては
(1)は可能性があると思いますが、のちの検討で放熱フィンを大型化しPTCに直接つながる金属の熱容量を増やしすぎると今回のようなON/OFF切り替えの温度制御では温度の上がりすぎが起こる可能性があるように思います。
(2)は有効でしょうが、静音型のこのサイズのファンでこれ以上回転数の高いものが見つかりませんでした。ファンの口径を増やせば行けそうですが、この小型インキュベーター全体のデザインを変更する必要がありちょっと面倒。
(3)これも間違いなく有用でしょうが、3Dプリンターでお手軽に誰でも出力出来るようにって考えると周囲の壁を2重にして間に断熱材でも入れられるようにするなどの方法でしょうか。ちょっと作るの面倒だし本体が大型化してしまいます。また顕微鏡上でタイムラプスすることを考えると、一番下面のガラス板は断熱しにくいです。
そこで安易に(4)を行ってみました。使用したのはこれ↓
110℃(3-10W)。とちょっとパワーアップ程度に見えますが、実際は放熱されやすさも合わさって大幅なパワーアップとなることが分かりました。
↓PTC素子を110℃仕様に換えたところ。いきなり1.2Aの電流が。放熱フィンで十分に冷やされているようで目標温度の37℃まで1A以上を維持して到達してしまいました。
↓かつ、ヒーターの電源がオフになった後も余熱で40℃まで上昇。これはいけません。。。。
↓放熱フィンを片側だけにしてみました。定常状態で0.6Aまで電流量は低下。しかし目標温度(37℃)に到達した後、余熱で38℃まで上がりました。これぐらいなら良いかな?
↓放熱フィン無しだと0.3Aぐらいまで低下し、37℃に到達後も余熱による大きな温度上昇が無くて済むことが分かりました。
部品点数も少なくて済むし、この条件を採用しようかな?放熱フィン無しで良いならもっと培養スペースを広くとれそうですし。
PTC素子で厳密温度制御ってなかなか難しいですな。冷却しすぎると出力上がりすぎるし、冷却するために放熱版の熱容量増やすと余熱の処理が面倒だし、冷却足りないとパワー不足になるし。PID処理しようとするとパーツが高くなるしね。
Category:#小型インキュベーター
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コメント
いいっすね!=24
001 [12.20 20:42]Sweet‘★1@NetHine:余った素子+一回り大きいケースで、装置全体を20度くらいにキープ出来る保温装置を作ってみては? ↑(11)
→カテゴリー:#小型インキュベーター(記事数:6)